日本語学校も担任制があります

日本で子どもたちが通う塾でも担任制があります。何か困ったときにどの先生に聞けばいいのかわからないということがありますから、担任制をとって、クラス内の相談事項は担任が引き受けるということにしているのですね。

日本語学校も同じように担任制があります。ただ日本語学校では生活面をも含めて相談に乗ることになるため、その内容は非常に多岐にわたります。担任だけでは対処しきれないことも往々にあります。

相談内容

生活面から進路に関することなど幅広くあります。

アルバイトについて

アルバイトは自立した生活のため、また日本社会を知るよい経験として、ほとんどの学生が経験しています。来日したばかりのときは日本語が不十分ですが、それでも応募可能な仕事を紹介する必要があります。

慣れてきたら慣れてきたで色々と問題が出てきますが、その頃には自分で解決していくことになります(ブラックバイト、給料未払いなどの問題は別ですが)。

生活面について

隣り部屋の住人が夜遅くまでうるさい、シャワーの水が止まらなくなったなど、学校寮に関する問題があります。学校寮であればもちろん学校がその後の面倒もみます。逆に管理会社から苦情を受けて、学生本人に伝える場合もあります。

また生活時間についても口を出さなくてはいけません。異国での生活は誰にとっても、親の目の届かない自由な環境であるため羽目を外しやすいものですが、それが高じて学生の遅刻や居眠りなどが増えれば当然面談し、注意することになります。

出席率が下がる、成績が下がるということになれば、ビザ更新に影響が出て、日本に滞在すること自体が危うくなりますから放っておけないのです。

法やルールの順守について

自転車通学をしている学生には特に、交通ルールを理解させる必要があります。知らないで警察に注意される、交通事故に遭う、そういった確率はけっして低くありません。

また日本特有かもしれない問題のひとつにゴミ問題があります。気軽にゴミを捨てない傾向のある日本人にとって、無頓着にゴミを捨てがちな外国人にはつい厳しい目を向けがちです。留学生は異国でのそういったルールをつい無視してしまう場合がありますが、そこをひとつひとつ説明し守らせることも学校や教師の仕事になります。

進路について

本人の希望ははっきりしていても、日本語能力的にそれが叶えられるかはまた別です。また能力があったとしてもそれを証明するテスト(日本語能力検定・留学試験)をきちんと受ける必要があります。加えて、実際に受験をする場合の願書の書き方、添付書類、提出期限など指導するべきことはたくさんあります。

病気やケガについて

慣れない異国生活、とりわけ気候が異なる環境下では、体調を崩すことはやはり多いです。交通事情の違いによると思われる交通事故も意外と多いのです。交通事故にあった場合の学生の不安はどんなに大きいことでしょう。学校はそういった問題が起こったときの頼りになる相談先になります。

日本での担任制とは違う点

自立した生活を行う年齢である

何か気になる点があった場合、面談し、相談に乗り、一緒に考え、注意もしますが、生活面に関わることであっても保護者への連絡は基本的に行えません。本人の意識が変わらない限り何も手立てはないということになりがちです。

それでも何度か寮に足を運ぶということはあります。ただ相手も子どもではないだけに、こちらとしても大人として対面しなければならないという気持ちがあります。異国での生活でことさら本人が自立を望んでいる場合が多いので、そこを尊重すべきという思いがあるのです。

外国人ゆえの悩みがある

日本の生活の中で困ったことや不満があっても、日本人の先生には理解してもらえないといったあきらめが、相談する以前に起こりがちです。本音と建前の日本社会でも(笑)、杓子定規ではなくうまくやる技はあるのですが、そこまで理解してできるようになるには相当な経験を要します。

そういった技を使うのは外国人にとってはとても難しいことなのです。建前を理解しながら本音でうまくやっていくためには、その本音の中味はもちろんのこと、建前を話す理由を理解しなくてはいけません。日本に何十年も住んでいれば、裏腹な本音を多少は読めるようになるそうですが、日本に来て1年もたたない留学生には無理でしょう。

また日本人からのアドバイスはどうしても押しつけがましくとられがちです。「郷に入っては郷に従え」を頭では理解し、そうしたいと思っていても長年の習慣は簡単には変わりません。そこをどうするかが異国での生活のチャレンジングな点なのですが、それをすぐに実行できる人ばかりではありません。

あとは言葉の問題があるでしょう。細かい部分を日本語で伝えることができない、または細かいニュアンスを正しく理解することができない、といったことです。そのため学校によっては、日本語に堪能なそれぞれの国の言葉で相談に乗れる外国人を雇用しているところもあります。

実際の問題の対処は分担で

ある程度の規模の学校ではクラス数も多いので、ひとりひとりの面談すべてに専任講師だけであたることはできません。よって、非常勤講師も担任となり面談にあたることはあります。担任手当も出ます。が、時給で働く非常勤講師ですから、実際に問題対処にあたるのは専任講師になります。

寮に関すること、アルバイトに関することなど生活全体のことに関わりはじめるとキリがありません。よって規模の大きい日本語学校では、そのような部署が別に設けられています。事務部門が担っていることもあれば、別会社に委託していることもあります。

小さな規模であれば、担任がそれらすべてを行います。大変な反面、関係は密になりますので、問題の深い部分まで把握でき、信頼感も増すといった利点もあります。

まとめ

日本語を教えることと同時に、異国で自分の未来を作っていきたいという志を持った学生を支援することも仕事となり、その責任は重いものになります。学校の生徒であることがビザ条件にもなっているのですから、もちろん学生側も自分を放っておいてくれとは言い切れません。

教師・生徒間の大人どうしの駆け引きも求められ、教師もそれらを通して異文化の価値観や考え方を知ることができるため、非常に興味深い仕事ともいえます。

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