日本語教師の役割を見直そう

日本にいる英語講師に対して、日本にいる日本語講師の私。
「私はただの語学の先生」、そんなふうに割り切って考えていましたが、経験を積むにつれ、また世の中の情勢を見るにつれ、それだけでは不十分ではないかと考え始めました。

今さら?と言われそうですが、日々の業務の中、語学教師として日本語に向き合っているうちに、つい疎かになっていた点です。

日本語教師に必要なものは?

日本語教師になろうとする人が必ず耳にする「日本語教育能力検定試験」は、現役の日本語教師や日本語を専攻する学生も受験する試験です。この試験に合格することが日本語教師になるために必須というわけではありませんが、出題内容は日本語教師として必要なものの表れでしょう。

出題内容の中でも日本語に関する知識以外の部分、つまり「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」について見てみましょう。

 

「社会・文化・地域」の区分の中で求められるもの

 

《日本や国際社会の実情、国際化に対する国や地方自治体の政策、地域社会の人々の意識などを考えるため》という目的で、以下の基礎的知識が出題されています。

 

  • 国際関係論、文化論、比較文化論的な視点と基礎的知識
  • 政治的、経済的、社会的、地政学的な視点と基礎的知識
  • 宗教的、民族的、歴史的な視点と基礎的知識

 

国際社会の情勢、国際化に対する国や地方自治体の政策なども知ったうえで、地域社会の人々の外国人に対する意識についても考えを深めていくことを求められています。

さまざまな国から来ている外国人の背景に興味をもって接していくことは、日本語教師として必要なことのようです。

 

「言語と社会」の区分の中で求められるもの

 

言語教育、言語習得および言語使用と社会との関係を考えるため、という目的で以下の基礎的知識が出題されています。

 

  • 広く国際社会の動向から見た国や地域間の関係から考える視点と基礎的地域
  • 政治的・経済的、文化的構造等との関係から考える視点と基礎的知識
  • 個々人の言語使用を具体的な社会文化状況の中で考える視点と基礎的知識

 

ここで注目したいのは「個々人の言語使用を具体的な社会文化状況の中で考える」という部分です。

学生一人ひとりの目的、能力、興味などを踏まえたうえで、学生の社会生活を含めて役立つ言語習得をといった視点が必要なようです。

 

「言語と心理」の区分の中で求められるもの

 

《言語の学習や教育の場面で起こる現象や問題解決のため》という目的のもとに、以下の視点と基礎的知識を求められています。

 

  • 学習の過程やスタイルあるいは個人や社会など、さまざまな視点からとらえた言語の修得と発達に関する基礎的知識
  • 学習理論、言語理解、認知過程に関する心理学の基礎的知識
  • 異文化理解、異文化接触、異文化コミュニケーションに関する基礎的知識

 

日本語を習得させるとき、異文化理解は欠かせません。相手を理解せず教えるのは乱暴であり、今の若者には合わないでしょう。

外国人に接する機会が少ない人ならいざ知らず、日本語教師であれば、母国語の影響から覚えにくさを感じている、学習スタイルの違いから習得に時間がかかっているなどの背景を理解したうえで接していくのは当然としたいものです

まとめ

仕事として毎日のように異文化に接し、ときに学生一人ひとりの生活面にまで関わらざるを得ないこともあります。日本語教師は、日本社会で生活を始める外国人にとって非常に心強い存在でしょう。

彼らが日本社会にスムーズに溶け込めるよう、あれこれと心を砕き、また必要な道具である日本語の習得を、しつこく諦めずに促すこと。この重要性をいつも忘れず、頭に留めておかなくてはいけません。

それと同時に、彼らの事情背景や今置かれている状況を、身近な立場でつかんでいるのも日本語教師です。日本社会と外国人を上手に繋ぐことができる立場でもあります。

「文化摩擦から起こる問題に対し、私たち日本語教師は “潤滑油” のような役割が果たせる位置にいるのだ!」という自覚が必要なのだと反省しました。

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