海外で日本語は人気ですか?どれくらい学ばれていますか?

先日、京都の先斗町あたりを歩いたときのこと。日本人でも足を踏み入れないような細い路地の奥にある料理屋で欧米系のカップルが何かお店の人と話しています。
その後ほどなくして彼らはその店に入っていったようです。こんな小さなお店の情報までその人たちの国では共有されているのかと驚きました。

日本に興味があれば、当然日本語にも興味が湧くでしょう。実際、日本語は外国でどれくらい人気なのでしょう。そして実際にどんなふうに学ばれているのでしょうか。

海外での日本語教育機関は着実に増えている

国際交流基金の調査によると、海外での日本語教育機関は1979年には1,145でした。それが1990年には3,917になり、1998年には10,930。その後も着実に数字を伸ばし、2006年には13,639、2015年には16,179です。

参考

海外の日本語教育の現状国際交流基金

実際の学習者が増えているのはどこか

2012年と2015年の数字で比較すると、2012年には3,000人ほどだった学習者が2015年には11,000人にまで増えています

ただ数字的には上位3つの国に比べれば桁が違うほどに差があり、2015年でみれば、中国は約95万人、インドネシアは75万人、韓国は56万人です。いずれも残念ながら減少傾向にあります。

学習者が増加傾向にあり、かつ上位に入っている国を挙げると、オーストラリア、タイ、ベトナムが上がります。順に人数を挙げると、約36万人、約17万人、約6万人です。自分の国で日本語を勉強する機会があれば、日本への興味につながります。こういった国々からの留学生が多くなるのは当然でしょう。

日本語はどういった形で学ぶのか

特に増加傾向にある国に焦点を絞り、どういった形で日本語を学ぶのかを2015年度の調査結果からお伝えします。

オーストラリアの場合

機関数1643、教師数2,800、学習者数は約36万人です。学ぶ機関は初等教育、つまり日本でいう小学校で学ぶ割合が60%近くを占めています。日本の中学・高校にあたる中等教育でも引き続き学ばれ、全教育機関の中で約40%あります。

オーストラリアでの外国語学習については、政権交代によって方針が変わり日本語教育熱も上下してきました。近年では2007年の政権交代によりアジア言語政策が復活し、2012年には『アジアの世紀における豪州』といった白書が発表され、学校教育で学ぶべき4言語のひとつに日本語が位置づけられたことから、日本語学習者が増加しています。ちなみに外国語として挙げられている他の言語は中国語、ヒンディー語、インドネシア語です。

しかし言語の選択や学習期間などは学校、地域、場合によっては保護者によっても左右され、オーストラリア全体の傾向とすることはできません。州ごとに外国語学習の時間数が決められてはいますが、地域によっては温度差があるようです。

中でも日本語学習に熱心であるニューサウスウェールズ州(観光客が多く訪れるシドニーがある州)について詳しく書くと、外国語学習は中等教育の間に100時間以上が必修とされています。

仮に1年の間に40週ほど勉強すると考えると、週に2~3時間は外国語の時間になります。時間数だけみると十分盛んなようですが、日本語だけではなくあくまで外国語の中での選択枝のひとつです。

タイの場合

機関数606、教師数1,911、学習者数は約17万人です。学ぶ機関は中等教育が66%を占めているので、遊びながら日本語に親しむというより、外国語という教科のひとつとしてあるようです。大学などの高等教育機関でも学ぶ人の割合は約17%です。

高等教育で勉強しているということは、自ら日本語を選んだということです。地理的に近く、アニメやゲームなどの日本文化が流入していること、タイにおける日系企業が4,500社にも及ぶことが理由でしょう。就職や昇給に役立つと考えての選択も多いのではないでしょうか。

2015年の調査では、日本語を学ぶ理由として「マンガやアニメが好きだから」「日本への観光旅行に生かしたい」という人が大幅に増えています。学校教育機関以外の機会で日本語を学ぶ学習者の増加率は2012年と比べて70%の伸びなので、仕事に役立つ理由以外に文化的な面からの興味が広がっていることがわかります

タイでは約30%が日本人の日本語教師です。また教育省主導で国際日本語キャンプも実施されています。また国立・私立合わせて90以上の大学で日本語教育が行われています。そのうち日本語を主専攻として学べる大学は38校あります。中学や高校の時に日本語に興味を持った学生がそのまま大学でも日本語を学び続けていける環境が用意されています。

ベトナムの場合

機関数219、教師数1,795、学習者数は約6.5万人です。学ぶ機関は、中等教育が17%、高等教育が30%と外国語教育のひとつとしてしっかり学ばれている様子がうかがわれます。特に高等教育つまり大学の17%はタイと同じく高いです。

タイとの大きな違いは、ベトナムではその他の教育機関で日本語を学ぶ割合が高いのです。なんと半数以上の53%ほどを占めています。日経企業でもN2合格を雇用のひとつの目安とするケースがみられることが考えられます。また技能研修生として来日する人の予備教育として日本語を学習する者も多いです。

日本とのビジネス上の関係が深まったのはタイよりも遅いタイミングなので、まずは現実問題として必要な層から日本語教育が発展し、今後、中等教育、初等教育へ広がっていくのではと予想されます。もうひとつ注目したいのは2009年に日本とベトナムが戦略的パートナーシップ協定を結んだことです。これにより貿易の拡大や経済関係の強化が見込まれ、この事実は日本語教育の発展を協力に後押ししています。

参考

日本語教育国・地域別情報国際交流基金

まとめ

世界を広く見渡すと、国の政策の変化によって減少傾向にある国もあれば、国と国との関係強化によって日本語人気が高まっている国もあります。またその国で、仕事つまり平たく言えば稼げる言語として日本語の人気が出始め、次第に日本文化への興味に拡張するという一連の変化の、どの地点にいるかを見るのも非常に興味深いことです。

加えて今、その国の教育機関のどのレベルで、どんな位置で日本語教師が求められているのかにも注目しておきましょう。
自分が望む教育機関の求人が多いかどうか、学ぶ人々は何を望んでいるかを事前に知ることは必要不可欠です。望み通りの仕事ができるかどうかは、まず分析、下調べありきですね。

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