日本語教師、非常勤ってつまりパート?

一般的な職場では正社員、パート、アルバイトと区分けされる言葉が、日本語学校では専任(常勤)と非常勤といった言葉で分けられます。つまり非常勤ってパートのこと?毎日来ないという点ではアルバイト的?その仕事内容はあくまでサポート的なもの?

この業界特有の非常勤という立場についてご説明します。

各学校での専任と非常勤の人数割合

圧倒的に非常勤の割合が高く、その数字は7割です。専任(常勤)は残りの3割です。実情をみても確かにそうですし、その割合は今後さらに増えていく傾向が見られます。

非常勤割合が高い理由

学校側と非常勤講師側それぞれのニーズが合致した結果です。

学校側のニーズ

・人件費を安く抑えることができる
・学生の年齢層や立場はさまざまなので、幅広い年齢層の講師が必要

社会保障関連の経費がかからない、また万が一の状況のときには辞めていただくこともでき、柔軟に対応可能です。

また、大学院を目指す学生や正社員として日本企業に就職を希望する学生の中には、ある程度の社会経験や人生経験を積んだ非常勤講師を望む者もいます。また上級クラスになると流暢な日本語での主張に応ずることができるタフさも必要になり、若い人ではコントロールしきれない場合もときにはあります。

相手が子どもではなくいっぱしの大人である、しかも外国人であるということが、非常勤割合を高くする大きな理由だと考えられます。カリキュラム作成などは中堅の専任教師がし、実際の授業のほとんどは信頼できるベテランの非常勤講師に任せるといった分担が今後は増えていくのではないでしょうか。

非常勤講師側のニーズ

・もともと短時間の勤務を希望している
・いきなり授業をたくさん持たされるのは不安

子育てとの両立を考える主婦や配偶者の扶養控除内での短時間での仕事を希望する人は多数います。また、使い慣れた日本語であっても、使えると教えられるは別物なので、その点で不安があり、短時間や少ない回数での勤務を希望する声もよく聞かれます。

非常勤講師の仕事内容

学校によりさまざまですが、日本語学校の場合の一般的な形は、専任が教育方針、目標そしてカリキュラムを作成し、それに基づいて非常勤が授業を担当するというものです。学校の規模が小さければ、専任が多くの授業を担当することもあり、専任の負担の大きさは膨大、甚大なものになります。

つまり非常勤講師は、授業に集中できます。ただし授業準備は時間外の仕事であり、経験の少ない間は授業時間以上かけて準備することになりますから、けっこうな負担です。経験を積んだ後にもよりよい授業をと考えると、やはり準備の時間は永遠に減らないのですが。

小テストの採点、作文や宿題の添削などはどちらがするか。これは学校によります。授業後にはその定着具合を知るために採点や添削もしたくなりますが、専任に任せてさっと帰れるのももちろん魅力です。そのどちらも捨てがたく、ふたつの学校を掛け持ちするという声も聞かれます。

非常勤講師の担当コマ数とその時給

個々の授業準備の時間などは計上しにくい数字ですから、一般には担当のコマ数で給料換算されます。これも学校によりさまざまですが、ある日本語学校を例に紹介します。

45分授業で4コマで、9:00~12:30を通して授業をします。1コマ分の給料つまりコマ給は基本は1500円として計算すると、1日の授業で4コマ分の6000円が入ります。これを週に2回入るとすると月に48000円となります。週2回なので残りの5日間は自由です。午前と午後に授業があればさらに、午後もすることができ、一日で12000円のお給料となります。

非常勤はお金にならないという声をよく聞きます。が、これは1日に2コマほどしか入れない場合ではないでしょうか。2コマで3000円が一日のお給料ではやはり心もとない金額です。

経験を積めば担当コマ数も増やせます。売り手市場の今、昇給を導入する学校も増えているようです。

現場での専任講師と非常勤講師の関係

専任講師は一般的に年齢が若く、20~30代のことがほとんどです。それに対し非常勤講師の年齢ははさまざまで、日本語を専攻する大学院生という若い20代もいれば、会社を退職後の第二の人生として日本語教師を始めた50~60代の非常勤講師もいます。

人数割合的に非常勤講師が圧倒的に多いので、専任講師の腰は低い印象です。ただしこれは信頼のおける、長く勤めてほしいと望む非常勤講師に対する場合で、そうでない非常勤講師への研修指導は、ある意味容赦ないものになります。

が、これはしかたがないでしょう。学生からのクレームは即、学校の評判に関わりますし、そのクレームを受け、責任を負うのは専任講師なのですから。全体としてはその関係は良好といえます。各クラスを数人の非常勤講師とひとりの専任講師で一週間を分担し授業していくので、協力していかざるを得ないのです。各生徒の情報共有はよい授業にも欠かせませんから。

まとめ

非常勤講師は勤務形態的にはパートです。が、授業という点については大きな責任を担っており、学校の評判を左右する重要な存在です。カリキュラム作成は専任がし、また個々の生徒の生活上の問題にも実際に対応する必要がないという点で、非常勤講師はよい形であると個人的には考えます。

不満があるとすれば、実際の進路指導にほとんど関われないこと。まじめな学生がどういった進路選択をし決まっていくかは、やはり人と人ですから非常に気になるものです。また、経験のあるなしによっての給料の差がないという不満もよく聞きます。しかし非常勤講師は、違う学校へと簡単に移っていけるような売り手市場でもあるので、今後は学校側も改善せざるを得なくなることでしょう。

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