平成30年度日本語教育能力検定試験の結果を分析!

平成30年度の日本語教育能力検定試験の合格発表が終わり、合格者の分析結果が発表されています。今年度の試験を受験した人はもちろん、すでに日本語教師をしている人にとっても興味ある内容をお伝えします。

受験者数は毎年1,000人程度増えている

 

直近3年の受験者数は、グラフを見ると急激な伸びといってよいでしょう。平成28年度で4,907人、平成29年度で5,733人、平成30年度では6,801人です。ほんの2年前と比べて2,000人弱増加し、割合では約1.4倍にもなっているのです。

平成23年度から減少していた受験者数は平成26年度を境に増加傾向に転じ、いまや過去最高であった平成5年度にも迫る人数になっています。

年代によって異なる受験者増加率

 

各年代別にここ3年の数字を挙げ、2年前と対比してみました。

  • 60代:661人      ⇒ 816人    ⇒ 1,094人 (平成28年度と比べ1.66倍)
  • 50代:1,034人   ⇒ 1,310人 ⇒ 1,690人 (平成28年度と比べ1.63倍)
  • 40代:1,019人   ⇒ 1,209人 ⇒ 1,417人 (平成28年度と比べ1.39倍)
  • 30代:882人      ⇒ 1,030人 ⇒ 1,129人 (平成28年度と比べ1.28倍)
  • 20代:1,285人   ⇒ 1,332人 ⇒ 1,425人 (平成28年度と比べ1.11倍)

受験者数全体で1.4倍増えているので、どの年代についても増加傾向にあります。が、その内訳をみると若い20代・30代よりも50代・60代の増加率が大きいということがわかります。

実際の受験者数も2年前には20代の受験者数が1,285人と一番多かったのですが、平成30年度については50代がもともと多かったところに増加率を大きく伸ばし1,690人にまで増えています。その結果、平成30年度については20代の1,425人よりも多くなりました。受験者数の一番多い年代は、20代ではなく50代へと入れ替わったのです。

 

受験者の年代は高齢化傾向にある

年代別構成比の変化を見てみましょう。

  • 60代:13.5% ⇒ 14.2% ⇒ 16.1% (増加傾向)
  • 50代:21.1% ⇒ 22.9% ⇒ 24.8% (増加傾向)
  • 40代:20.7% ⇒ 21.1% ⇒ 20.8% (変化はほとんどなし)
  • 30代:18.0% ⇒ 18.0% ⇒ 16.7% (減少傾向)
  • 20代:26.2% ⇒ 23.2% ⇒ 21.0% (減少傾向大)

受験者数は明らかに高齢化傾向にあるといえるでしょう。この結果はそのまま学校内の講師の割合に反映されていくものと思われます。

ただし日本語教師になる条件には、日本語教育能力検定試験合格以外にも日本語教師養成講座の修了もあり、この割合がそのままスライドしない可能性もあります。

受験者の内訳は?

 

 

日本語教育能力検定試験は、現役日本語教師、大学生や大学院生も少なからず受験します。しかしグラフを見てわかるように、会社員・公務員・自営業といった現役で働いている社会人の割合が圧倒的に一番多く35%を占めています。

また、主婦や主夫といった家事労働中心の受験生の割合も14%とかなり高めです。この割合は非常勤講師の11%よりも多いのです。

さらに注目したいのは退職者の割合が8%という点です。50代・60代の方々でしょうか。

もちろん学校によるとは思いますが、多くの日本語学校では毎期ごとに何人かの離職者が出ます。そして、それと同じ数だけ新しい非常勤講師が入ってきます。自己紹介時に意外な職種からの転職と聞き、思わず目を丸くすることもあります。

そういった人たちの多くは日本語教師養成講座を修了してから就職する場合もありますが、講座を受けると共に受験することもきっとあるでしょう。

 

気になる合格率は?

 

「日本語教師は不足している」と言われて久しい業界です。人数を増やすべく合格率もよくなっているのでは?と予想しつつ調べてみました。

  • 平成28年度の全受験者数 4,907人 合格者数 1,231人 合格率 25.1%
  • 平成29年度の全受験者数 5,733人 合格者数 1,463人 合格率 25.5%
  • 平成30年度の全受験者数 6,801人 合格者数 1,937人 合格率 28.5%

合格率は約3割に迫る数字が出ています。グラフをざっと眺めても、ここまで高い合格率になったことが今までありません。合格率が20%を切っていたこともざらにあったのです。

この合格率上昇傾向は、今後さらに進んでいくのでしょうか。

まとめ

簡単に結果をまとめてみます。

  • ここ数年、受験者数は増加傾向にある受験者数は、特に50代・60代の伸びが大きい
  • 受験者の内訳で一番多い割合を占めていた年代は20代だったが、平成30年度は50代に
  • 現役の日本語教師よりも、社会人や主夫・主婦などの受験が多い
  • 合格率は平成30年度に限って非常に上がった

これらの結果を皆さんはどう捉えるでしょうか。特に合格率が30%近くにまでなったことは、追い風と思ってよいかもしれません。

また50代・60代の人にとっては、やりがいのある仕事として日本語教師を選び進もうとしている同年代の仲間が増えていることが数字からもわかります。励まされる!という声も多く上がることでしょう。

しかし正直なところ、仕事人としていわゆる“あぶらの乗った時期”というのは30~40歳ともいわれる中、若干疑問も湧きます。

確かに教授歴は長ければ長いほどバリエーションが増え、学生を見て臨機応変に対応することもでき、安定感があります。そういった経験を積んだ末の50代と、50代になって初めてこの職についた人とは歴然とした違いがあります。

前職での経験、知識を生かす機会があるのも日本語教師という職種のおもしろいところです。何歳から日本語教師になるにしろ、自分の強みと弱みを理解し謙虚に努力していくことが一番大事なことでしょう。

参照URL:公益財団法人日本国際教育支援協会

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