日本語教師の求人における情報リテラシー

今、日本語学校は毎年、閉校するところもあれば開校するところもあるというダイナミックな業界です。どこの学校も長く継続していきたいのはやまやまで、そのためにどういった特色を出すか、どこに力を入れるか考え進めていかなければいけません。

「日本語教師は人手不足」「面接は必ず通る」、そんなことも囁かれていますが、実際にこの業界に身を置く者として、肌で感じるままにお伝えします。

いつも求人を出している学校はブラック?

一般的に「常に求人を出している学校は、きっと居心地や待遇が悪いに違いない・・・」と想像してしまいがちです。もちろんその通りのところもあるでしょうが、あながちそうではないこともあります。

方針が大きく転換され、ベテラン教師が辞めていく

特定技能ビザの発行が実施され、日本語学校の学生も卒業後であれば自ら就労ビザを申請できます。今までも留学ビザというのは名ばかりで、実は就労目的の学生はいました。そういった学生にとってこのビザは、自力で日本に滞在しながら仕事ができ、日本人と同等の給料が保証され、まさに“渡りに船”でしょう。

今後こういった目的で来日する外国人が増えていくのなら、日本語学校は方向転換を図らざるを得ません。長期在籍し、卒業後は大学や大学院へ進学する学生たちに向けて作ってきたカリキュラムを、変えざるを得ないのです。

大学や大学院の受験を目的とした学生と、N4程度の日本語力をつければよいと思う学生とでは当然カリキュラムは異なります。求めるレベルと期間が違えば、それは当然のことでしょう。

ときにベテラン教師は、時間が十分にあり目標とするレベルが高い学生を一番に考えがちですが、時代は変わっています。短期でもよい、就労目的でもよい、とにかく学生を集めよう!と考える学校側とは、自然とすれ違っていきます。

結果、人の流動が起こります。

求人の背景がこのような理由の場合、常時募集しているからといって、必ずしもブラックとは限りません。

 

教師のステップアップの過程にある学校

ある程度、歴史がある学校は学生からの口コミによって容易く人が集まる傾向にあります。また、ビザ発給の点から見ても、長年ルールを守って経営してきた学校は入国管理局からの信頼も厚く、学生の数は一定数を保ちやすいという結果になります。

そういった学校で働くと、長年の試行錯誤の結果として生まれたカリキュラムを見せてもらい、それをうまく進めるための技術が自然と身につきます。これは新人教師にとって非常によい勉強になります。

「まずは大企業に勤めて力をつけ、本当に自分がしたい仕事ができる環境へ旅立っていく」、そんな流れと同じように考えられる学校かもしれません。

日本語教師という仕事の性格上、そういった軽やかなステップアップとして選ばれている学校とも考えられます。

 

最近、求人募集していないから良い学校?

逆もまた然りです。常時、求人募集をしていない学校は“人材定着率が高く良い学校”と考えがちですが、そうではない場合もあります。

併設の日本語教師養成講座からそのまま教師として採用している

以前はよく募集していたのに最近はなく、学生も減っている様子はない。この場合、新たに募集せずとも教師を確保できるルートが確立できているということもあります。

それは日本語学校に併設されている日本語教師養成講座です。

どちらを主と見て、どちらを併設とするかはそれぞれの学校で違います。しかし、雇う側からすれば講座の受講段階から面接を行なっているようなものです。将来有望だと思われる教師の卵を、そのまま日本語学校へとリクルートすることができます。

本人にとっても、別の学校の違った方針ややり方で戸惑わずに済みます。端的にいえば、面接をして模擬授業、といった段階を踏まなくてよい分、気が楽です。

ある日本語学校では「以前は絶えず募集をかけていたが、最近ではほとんどしなくてよくなった」という話も聞きます。

 

学生数が減っている

これはいわずもがなですが、学生数が減れば経営面で困難になっていくわけで募集はかかりません。それ故、教師も定着しません。

そんな状況下で、どうしようもなく教師が足りず募集することもあります。これに該当する学校かどうかは、学生の在籍数の変化をチェックしておきたいものですね。

 

まとめ

転職先として海外まで視野に入れられる職種であり、来日する学生の目的の変化がこの5年間を見ても顕著であるのがこの日本語教育業界です。

それを思うと、一般の会社と同じように、募集がかかっている=ブラック、募集がかかっていない=優良企業、とは言い切れないところがあります。

「情報リテラシー」という言葉が使われるようになって久しい昨今。採用された限りは長く勤められるよう、求人募集をせめて半年や1年単位で眺めながら、真実を読み取るよう努めてみることも必要かもしれません。

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