日本語を教えるなら法務省告示校?

年に1回でしょうか、勤務先である学校から履歴書や日本語教育能力検定合格証などの提出を求められることがあります。「認定に必要なので」という説明でした。認定??確かに私の勤め先は法務省告示校ですから、法務省への提出が必要なのでしょう。

勤めている者にとってはよい授業をすることが一番の関心ごとなので、それ以外のことには案外無頓着です。しかし、ビザを取得して晴れて入学となる学生数の多さを考えると、法務省告示校として認定を受けることは意味のあることなのだろうと想像できます。

さて、この法務省告示校の基準とは何でしょう。認定校の数は?法務省告示校とそうでない学校は何が違うの?など、順にご説明します。

法務省告示校とは?

日本語教育の内容についての指針などは国際交流の一環として文化庁が担当しています。法務省はその名の通り法律に関すること、つまり外国人が日本に滞在するビザに関連しての業務を担っています。その法務省の告示に基づいた日本語教育をしている機関を「法務省告示校」といいます。そして法務省告示校の学生には留学ビザが発行されます。外国人側からみて言い換えると、法務省告示校であれば滞在許可が出るということです。

ビザの種類は「留学」以外にもいろいろありますが、滞在許可であるビザなしでは日本で生活することはできません。またビザがあれば、法律の範囲内で仕事(バイトも含む)ができ、法律に守られた生活ができるわけです。学生側からみればビザをとれる学校を選ぶのは当然であり、学校側からみれば安定した学生数を確保するために法務省告示校としての認定を受けるのも、当然の流れです。法務省告示校は、いわゆる日本語学校だけでも北海道から沖縄まで580校ほどあり、専門学校や語学学校で日本語科を設置している学校を合わせると1000校以上になります。(平成29年5月現在)

法務省告示校に認定されるための基準

法務省入国管理局が定めた「日本語教育機関の告示基準」によると、名称、学則、設置者、教育課程、生徒数、施設設備などに関して、こと細かに示されています。健康診断についての項目もあります。こういった基準に達している学校ということであれば、学生側も安心でしょう。

入学者の募集や選考についても書かれています。留学ビザを得るための条件から提出する書類など非常に多岐に渡りますが、そういった面倒な手続きを経て入学する学生は、勉強意欲にあふれた者である可能性は高いです。教師側からみて、こういった学生に日本語を教えることは、やりがいという点においても、やりやすさという点においても、よりよいものであるに違いないでしょう。

その他、授業の時間帯や1クラスあたりの生徒定員数、事務職員に関する規定もあります。これらは労働条件、職場環境などに直結する項目ですね。

厳しい基準に合格した学校は、学生にとっても安心で、教師にとっても仕事しやすい環境といえます。ただ誤解のないように付け加えたいのは、そうでない学校はいい加減、ではないということです。
また以下に示すように日本語教育の場は数限りなくあるのです。

法務省告示校以外で日本語を教える機関や場は?

大学、企業、小中学校の他、公共施設などで行われるボランティアによる教室、プライベートなどさまざまな場所、形態があります。それぞれの対象は、大学生、企業で働く外国人社員、研修生、外国人児童・生徒、主婦などです。企業や小中学校向けの日本語教室は派遣の形で開講されることもあり、それ相応の資格を持った教師であることがほとんどですが、外国人主婦など生活者向けの教室はボランティアで教える場合が多いですね。

ボランティアで教える教師は専門的な知識が十分でない場合もありますが、受ける側からすれば安く教えてもらえることは大きなメリットです。また「文法などの知識よりも、ほしいのは会話力」、「日本人と触れ合う機会がほしい」、「日本で生活するために知っておくとよいことなど教えてもらいたい」、などニーズもより生活に密着したものになります。教える側も退職者や主婦など時間に余裕のある方が多いので、そういったニーズを満たしやすく、双方にとって学びのある場となります。

また最近では、すでに日本で住むためのビザを持っていて、介護の仕事に就くために日本語を覚えたいという人への日本語教育を行う機関もあります。この職種については国としても特別なビザを発行するほど慢性的人手不足が問題となっており、今後こういった機関や場は増えていくかもしれません。

さらにインターネットを使った授業も少しずつ増えています。この場合、外国に住む外国人だけでなく、日本語に触れる機会の少ない日本人に教えることもあり得ます。もちろん日本への留学を考えている人や、ただ日本に興味があってという人などさまざまなので、教える側にとってもよい視野が広がり、価値ある社会勉強にもなるでしょう。

法務省告示校にこだわる必要性はあるのか

法務省告示校の数は1000校以上と確かに多いですが、それ以外でも日本語を教える場は限りなくあります。要は、需要があるところすべてです。そのため、特に海外で働くことを考えている人にとっては法務省告示校にこだわる必要はありません。またボランティアとして、趣味のひとつとして、日本語を教えたいという人にとっても考えなくてもよいことです。

ただ、一定以上の収入確保という点で考えると、十分な生徒数、安定した経営状態が必要ですから、留学ビザを申請できる法務省告示校を強くおすすめします。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう