日本語教師のこの先の見通しは?

大企業や有名企業に入っても倒産や経営不振に陥ることはあり得るので、先のことは誰にもわかりませんが、日本語教師としての見通しはいいのかどうなのかはやはり気になるところですね。

過去の状況などをみながら考えて行きましょう。

学生数の推移

この業界のお客様である学生数の増減に関して、一般財団法人 日本語振興協会からの資料をご紹介します。資料は平成3年からありますが、平成18年度から書き出すと

平成18年度の学生数は30607人。そこから毎年の増減は、31663人、34937人、42651人、43669人、33239人、29235人、37918人、43667人、50847人、52278人となります。最後の数字は平成28年度で過去最高の数字ですが、平成29年度はこれをさらに上回ることが予想されています。

ここ10年の数字を見ても増減を繰り返しているのがわかります。気になるのは減少の理由ですね。

上記の数字の中では平成23年度は、前年の約43000人から33000人と10000人減っており、その次の年もそこからさらに4000人減った約29000人です。またそれ以前の数字では平成7年が前年より6000人ほど減っており、その影響が残ってか平成8年もそこから3000人ほど減少しています。それ以外に大きく数字を減らした年度はありません。このときに何が起こったのでしょうか。

平成7年と平成23年。これは大震災のあった年です。阪神淡路大震災と東日本大震災。この大ニュースは世界中をかけめぐりました。地震の直後ニュージーランドに住む友人から連絡をもらい、あわててTVをつけ確認するというほど瞬時に世界に伝わり、他国から見ても衝撃的なニュースだったのです。地震を怖れ、また地震によって国全体が混乱し日本語教育どころではないことを心配し、来日を断念するということが起こっても不思議ではありません。

日本国内にいればわかることも海外からは正しくつかめず、こういった天災によって簡単に学生数は減少します。が、東日本大震災のあった2年後の平成25年は約37000人と急激に増加しています。インターネットの普及もあり、正しい状況が伝わりやすくなり、回復も早くなっているのではと思われます。

日本語教育機関の増減

学生の受け入れ先である教育機関の数字もみてみましょう。同じく平成18年度の387校から順に挙げていくと、383校、395校、426校、449校、451校、430校、393校、359校、336校、308校です。最後の数字が平成28年度で、この10年の中では最も低い数字になっています。

平成21年に前年の395校から426校へと増えている理由は何なのでしょう。そのあたりの政府関連の変化を探ると「出入国管理及び難民認定法」の改正が、平成21年7月15日より公布されました。平成22年8月31日には、内閣府に設置された日系定住外国人施策推進会議において「日系定住外国人施策に関する基本指針」策定されました。文部科学省では平成22(2010)年5月19日に『定住外国人の子どもの教育等に関する政策懇談会」の意見を踏まえた「文部科学省の政策のポイント」を発表しました。

こうした政府からの日本語教育施策の充実に関する措置により、追い風を感じ日本語教育機関は増えたものと推測されます。が、その直後に起こった東日本大震災で学生数が減少し、それにともなうかのように教育機関も減りました。

今現在の状況では、学生数が増えているのに日本語教育機関の数は減少したままです。ということは各校の学生数が増し、小規模の学校は淘汰されたということですね。それでも市場的には日本語教師は売り手市場。個々人を見れば明るい見通しですが、長期的に見れば不透明ではありますね。

日本語教師という仕事の特殊性

社会人の経験もある程度積み、その途中で海外で働きたいと漠然と思いついた人が考える職業として日本語教師を選ぶことはあります。日本語教師養成講座を終え、資格を得た後、すぐに海外へ飛んでいくこともできます。学生は増えているのに、日本語教師養成講座も人気があるのに、なのに売り手市場という背景にはこういったことも考えられます。

日本語教師の海外からの求人情報をみると「国内の日本語教育機関での経験がある者、優遇します」と書かれています。つまり何も経験なく資格だけとっただけの人も採用されるほどに求められている現状がみえます。極端なことをいえば、日本語さえ使える人であれば、日本人でさえあれば、教えた経験がなくてもよいという機関もあるのでしょう。

世界という広い市場で活躍できる可能性があり、またさほどの経験がなくとも受け入れられる場所があるという状況の中で、日本語教師の動きは常に流動的、かつダイナミック。常に人手不足というのがここ数年の状況です。

文化庁の発表からの考察

文化庁の発表からいくつか抜粋しましょう。

・「我が国において外国人の受入れは、少子高齢化、労働生産人口の減少、高度人材の受入れによる経済活性化など、『日本の今後』と合わせて議論されることも多く、まさに我が国の将来に関係する大きなテーマとなっています」

・「我が国に住んでいる外国人については、言わば一時滞在の「出稼ぎ」ではなく定住化が進んでおり、生活、労働、子育て、地域社会への参加など「生活段階に応じた対応」が求められるようになってきています」

この2つの発表により、外国人の受入れは日本社会にとって不可欠であり、出稼ぎではなく定住者と考えていることがわかります。しかしそのために生じる問題についても以下のように指摘されています。

・「日本語能力が不十分であることにより、子供の教育、就職、行政や地域社会とのコミュニケーション等日本での生活のあらゆる場面で支障が生ずる」

・「今後もこれらの人々の定住を認める以上、日本社会の一員として受入れ、社会から排除されないようにするための施策を国の責任として講じていくことが必要」

・「日系定住外国人が日本での生活に必要な日本語を習得するための体制を整備する必要がある」

日本語教育の必要性は今後さらに増していくものと思われます。

まとめ

以上、見通しを考える材料やヒントをご紹介しました。日本の人気が落ちない限り、来日を希望する学生は減りません。また文化庁の発表から考察すると、定住者への日本語教育の必要性も見えました。こういったニーズを思うと日本語教師の見通しは明るいのでは思われますが、皆様はどうでしょうか。

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