EPAと日本語教師の意外な関連性

EPA (Economic Partnership Agreement)は経済連携協定です。

貿易の関税撤廃などが挙げられますが、日本語教師にも関係してくることがあるのです。

EPA(経済連携協定)について

FTA(自由貿易協定)を柱として関税撤廃などの通商上の障壁をなくすだけでなく、経済取引の円滑化、経済制度の調和をはかること。サービス・投資・電子商取引などの経済領域での連携の強化・協力をすることを取り決めた条約です。

この協定では2つのポイントがあります。

  1. 条約であること
    条約なので、国家間の合意としてきちんと文書が交わされたもので、国の様々な規定や補助って実施されていく大きな施策という意味です。
  2. 経済取引の円滑化と経済制度の調和を図る目的
    経済が上手くまわるということは、ヒト・モノ・カネが自由に移動するということです。このヒトが動く時に日本語教育が関連してきます。

ジェトロの資料では、ヒトが動くことを「人的交流の拡大」、「各分野の協力」と説明しています。

参照URL:ジェトロ

EPAによる看護師・介護福祉士候補生の受け入れによって生まれる機会

2008年、EPAに基づいて日本での看護師・介護福祉士候補生の受け入れがニュースになりました。自国で看護師の経験がある人たちが、日本で看護師や介護福祉士として働くことを目標に掲げ、来日したのです。この時の対象国はフィリピンとインドネシアでした。2014年にはベトナムからの受け入れも始まりました。

国家間のプロジェクトなので政府からのサポートも手厚いです。
例えば、来日前に国際交流基金による6か月の日本語講習を受けた人が対象のサポートがあります。来日後ひとりに対し200万円以上の費用をかけてN3程度の日本語能力養成のための講習を6か月実施することを規定としました。そのうちの国の負担は約180万円で、残りを受け入れ施設が負担します。他にも教材の提供、家賃の補助など負担されます。
日本語教育の内容は受け入れ機関によって違いはありますが、月に数回もしくは週に1回程度の日本語教室、毎日の自習時間、施設の職員による専門用語の解説などのサポートがあります。

このようなサポートを受けながら、EPAによる看護師・介護福祉士候補生は来日してからも日本語の勉強を続けていきます。仕事上日本語力が必須であることも関係していますが、仕事をしながら日本での国家資格取得を目指すことも目的だからです。

看護師の場合は3年、介護福祉士の場合は4年の間に国家試験合格を目指します。看護師の国家試験は滞在期間中3回の受験チャンスがあります。
しかし、介護福祉士は最低3年の実務経験が必要で、その後に受けられる試験のため、受験チャンスは1回のみになります。

こういったEPA制度による候補生に日本語教師がかかわる場合には、生活や仕事のための会話中心のカリキュラムだけではなく、試験に合格するための勉強といった意識も必要です。

EPA日本語講師として海外で働く機会

国際交流基金が募集する日本語教師の求人の中にEPA日本語講師というものがあります。これは上記のEPA制度で来日前の対象者に日本語教育を行うための講師です。
来日前の日本語教育期間は6か月ですから、派遣期間も7か月とチャレンジしやすいプログラムになっています。

参照URL:国際交流基金

上の図のように訪日前日本語研修を担うのが、EPA日本語教師です。国際交流基金のサイトからその募集条件等を抜粋しました。

年齢:65歳未満
学歴:四年生大学卒以上

日本語教授経験:不問
(ティーチングアシスタントやチューター経験も含め、なんらかの経験があることが望ましい)

派遣期間:7か月

派遣国:インドネシア、フィリピン

日本語教師資格は必要です。大学で日本語を主専攻もしくは副専攻し修了した者日本語教育能力試験に合格した者日本語教師養成講座420時間を修了した者の3つが挙げられています。

教える対象は半年後には来日し、3年後もしくは4年後には日本語での日本の国家試験に合格という目標を持った意識の高い外国人たちです。その多くは20代で、日本語については習ったことがないといった人たちです。非常にやりがいのある仕事になることでしょう。

国際交流基金からの派遣プログラムには、他にも日本語上級専門家や日本語専門家もあります。条件は修士以上、教授経験も上級専門家であれば10年以上、専門家であれば2年以上の教授経験が必要です。

まとめ

日本語学校にも、インドネシアやフィリピン、ベトナムから来た学生で介護のアルバイトをしているケースがよく見られます。卒業後は介護の専門学校や短大の介護学科に入学していくケースも非常に多いです。そういった上級学校在学時に集中して勉強し、国家試験の合格を目指していくのでしょう。

国と国との間でヒトが動く場合、コミュニケーションの道具として言葉は必要ですから、EPAは日本語教師として、ワードのひとつとして覚えておくとよいかもしれません。

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