日本語教師が目の当たりにする「留学生の変化」

この日本語教師業界に入り年数が経ってくると、ほんの5年の間でも各国の学生に変化が見られます。そういった変化を目の当たりにし、自分なりの考察を持てることは非常におもしろく、今後も尽きることはないでしょう。

その考察をご紹介いたします。あくまで私見ということでお読みください。

国別の変化・傾向

複数の日本語学校や専門学校で、日本語教師として勤めて感じた、国ごとの学生の特徴です。

介護業界に貢献が期待できるフィリピン人学生

介護関係の人材として期待されている国の筆頭でしょう。来日前から介護関連の企業と結びつき、来日後すぐにアルバイトが始められる状況で来ることも多々あります。そういった学生は日本語学校を卒業後、さらに介護の関係の学校に通い、資格を取り、日本で就職したいという夢を持っています。

来日したばかりの初級の学生であっても、こういった計画を口にするということは、それだけきちんと事前に説明を受けているという証拠です。

日本が介護に関するビザを発給するという事実は、本人たちにとってもやる気を起こさせる、安心できる材料であると思われます。学習態度もとてもよいです。

 

二極化傾向のベトナム人学生

なんといっても今や日本国内では多数派の国籍です。介護の人材としてだけでなく、製造業や建設業でも期待されています。手先が器用で仕事を真面目に取り組む印象があります。

しかし人数が多いだけに、様々な考えで来日しているというイメージです。

フィリピンからの学生のようにはっきりとした将来像を持たないまま、「とにかくアルバイトを頑張ろう」といった気持ちで来ている学生もいます。

こういった学生の授業態度はあまりよくありません。アルバイトを優先してしまう傾向があります。

一方、すでにかなりの漢字力を持って来日する学生も、最近では数多く見られるようになりました。現地ベトナムの日本語学校で日本人の日本語教師からしっかり教わってきているのでしょう。漢字が読めて、正しく書ける学生は確実に増えています。

こういった学生は、例えば「ツアーコンダクターになりたい」といった具体的な夢を持ち、真面目に勉強に取り組みます。

 

自力で仕事を探す韓国人、香港人、台湾人学生

日本と変わらない、ところによっては日本以上に進んでいる国々です。学生たちの成熟度が高く、自分の力でアルバイトを探し、チャンスがあれば就職へと進んでいきます。

留学ビザだけでなく、ワーキングホリデービザが出る国なので短期生として在籍する場合もあります。気に入って意義を感じれば、長期に変更していくこともあるでしょう。ワーキングホリデービザで来ている場合には、学校に縛られず活動できるという余裕があります。

これらの国は、なんといっても“漢字を意味から理解できる”という強みがあります。日本語能力試験で早い時期からN3、N2を取得していくことができます。

日本での仕事も多岐にわたりますが、主には外食産業や観光関連(免税店、ドラッグストアなど)の仕事をしていくことが多いです。

学習態度はおおむね真面目です。出身国の教育に関する取り組みは、おそらく日本と変わらないのだろうと感じさせられます。

 

多種多様な計画を持っている中国人学生

日本文化に興味があって来ている学生、モラトリアム的に来ている学生、日本でビジネスを立ち上げようと考えている学生・・・など、その目的は多種多様です。国としての大きさを感じさせられます。

難易度の高い大学、大学院への進学を検討していて、こちらが感心するほどに勉強に真剣に取り組む学生もいれば、「目的は何?異国生活体験に来ているの?」と尋ねたくなるような、ゆるい態度の学生もいます。

そういった学生は教えにくいかというと、決してそうではありません。その大陸的な大らかさに救われる、ほっとさせられることも多々あります。授業態度が悪く、手を焼くといった学生は最近あまり見られなくなりました。

 

各国に共通する変化

昔は、英語ができる学生といえばスリランカ人学生でした。その英語を武器に大学院へ進学していくこともよくありました。

しかし今や、それ以外の国の学生たちの中にも英語を自由に扱い、おしゃべりを楽しむ初級の学生の姿が多くみられるようになりました。

特に20歳代前半の学生は 、上手・下手の差はあれど、英語での会話は普通にできます。これがここ最近で気がつく大きな変化で、多くの先生の中でも一致した意見です。

 

まとめ

日本はアジアの中の一国ですが、アジア各国との違いは明確にわからないこともあるのではないでしょうか。日本語教師としての経験を重ねるうちに、それが見えてくるのは何よりおもしろく、興味深いことです。

若い学生たちの学習に向かう態度から、その国の教育が目指してきたものが見えてきます。

また、学生たちが描く将来への希望から、その国が抱える現状の良いことも悪いことも見えてしまいます。

これらは日本語教師という仕事のおもしろさの一つ。いつまでも尽きない興味の種です。

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