日本語教師とアジアの国々との深~い関係

日本語はもちろん世界の共通語ではありません。そこが英語とは違うところで、日本語を学習したいと希望する国には偏りが見られます。ではどこの国からの日本語学習者が多いのか。やはり割合的に多いのはアジアの国々です。
その背景、そして最近の変化などについてお伝えします。

アジアの国々からの日本語学習者が多い背景

・製造業からの影響
海外で製品を製造し、日本に卸すという形が行われるようになってからすでに長い年月がたっています。日本の会社の現地への進出は目覚ましく、タイの首都の街角に降り立てば、日本の会社の看板がいくつも目に飛び込んできます。そういった現地の日系企業への就職を望む人は多く、日本語学習希望者が増える要因のひとつになっています。

・距離的に近く、物の行き来が盛ん
距離的に近いアジアの国々との貿易は盛んです。農産物や海産物だけでなく衣服などでも、納品までの日数が少なくて済むアジアの国々は他の国よりも商売上有利だからです。品質の差がなくなってきている今、アジアの国との関係はますます深くなっていくでしょう。日本国内でも、外国語に堪能な日本人よりその国出身の日本語ができる外国人を望む声も高まりつつあります。こういった日本にある日本の商社などでの採用を願う人も増えています。

・もともとの文化が似ている
もちろんひとくくりにはできずあくまで比較ですが、欧米諸国に比べれば生活習慣や人間関係などの考え方など、文化的なものは似ています。文化的ギャップが少なく、同じアジアの国々の中で進んだ国である日本に興味を持つ若者は多く、結果日本語学習希望者の数は多くなります。

アジアからの日本語学習希望者の変化

・中国、台湾、韓国などの国々は減少傾向

20年前には中国や台湾、韓国からの学生が数多く来日していました。国に帰ってから日本の会社で働きたいという希望を持った学生が多かったからです。また韓国からの学生で卒業後、美容関係の専門学校を希望する学生もいました。今の韓国での美容ブームのもとはこのときの卒業生が活躍しているかもしれません。

今も中国・韓国・台湾からの学習者は依然として多いですが、全体のほとんどを占めていた20年前と比べれば減少傾向にあります。そして学習を希望する理由も変化しています。最近は純粋に日本そしてアニメやゲームに代表される日本文化への興味から学習したいという学生が増えています。

またワーキングホリデー制度を利用して来日し、日本語学校で日本語を学習しアルバイトをしながら短期滞在をするという形も台湾などでよく見られます。半分遊びのような制度で来る学生たち。明らかにその生活のしかたや雰囲気など昔とは違ってきています。アジアの国々の経済が上がってきている証拠のひとつでしょう。

特にアニメの影響について言及せずには済みません。子どもの頃から日本のアニメを見ながら育った世代が今20歳前後になっていて、まさに来日しているからです。そういった国々の学生は、自国で大学を卒業後日本に来て日本語を勉強し、そのうえで日本の専門学校でさらに資格を身につけるコースを選びます。アニメ―ション方面の専門学校を望む学生も多いです。

・ベトナム、インドネシアなどの国々が増加傾向

一方新しい動きも見られます。その対象となる国々はベトナムとインドネシア、そしてフィリピンで、国と国とが結んだEPA(経済連携協定)の影響によって、今後の日本語学習希望者は増える傾向にあります。このEPAによってすでにこれら3つの国から日本への介護福祉士・看護師候補者の受け入れが、インドネシアは平成20年度から、フィリピンは平成21年度から、ベトナムは平成26年度から始まっています。

実際、ベトナムやインドネシアでは自国である程度日本語を学習した福祉関係の専門職としてのビザで来日する、または日本に来て日本語を勉強してからそういった方面の専門学校に入るといったコースを考える者が増えています。その間アルバイトとして介護関係につく学生もおり、慢性的人材不足の業界にあっては非常にありがたい存在となっています。

また日本のものづくりの現場での技能実習生の存在も見逃せません。3年を区切りとして若者たちが日本で働き、週末などに会社が用意した日本語教室で日本語を学習します。その時間数を確保することは受け入れ機関の義務とされています。自国で日本語学習を少ししてきている場合もあり、この制度を利用して来日する者の多い国では日本語学習希望者は増加傾向と考えられます。昔はブラジルやペルーなどが多かったのですが、最近ではベトナム、ミャンマーが多くなっています。

・IT関連でバングラデシュが今後増える?
世界的に優秀なIT技術者にインド人が占める割合は今も高いですが、慢性的な人手不足によりその賃金はこの7年で2.4倍と高騰しています。そんな中、同じくインド系であり、同等の潜在能力も持ちながら賃金的にはインド人の半分以下というバングラデシュが今注目されています。日本のIT産業を支える人材を派遣する会社もバングラデシュで設立されています。
NEXT10の一国として期待され、親日家の多いバングラデシュ。本国での日本語教育熱も少しずつ高まっています。

まとめ

距離的に近いということは関係が深くなる何よりの要因です。近いからこその国際的問題も後を絶たずありますが、実際にある人の動きは止めることはできません。そのときのそれぞれの国の発展状況、日本との関係などにより日本語学習人気は上下しますが、それでも安定してニーズの高いのはアジアの国々です。

日本語教師の皆様、今後日本語教師を目指す皆様、ぜひアジアの国々の動きに目を向け、かつ英語に加えて何か語学を身につけるのならそれらの国々の言葉にされてみては?

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